大田市 GR86×POTENZA RE-71RS:タカタサーキットでのセット出しと新たな挑戦 タイヤセレクト大田 / SimGarageMTRacing / 松田タイヤ工業所
皆様、こんにちは。 モータースポーツを愛する皆様にとって、サーキットでの「セット出し」は、自身の愛車と対話し、コンマ1秒を削り出すための最も刺激的で奥深い時間ではないでしょうか。先日、広島県の「TSタカタサーキット」にて、弊社のデモカーであるGR86を持ち込み、ブリヂストンのハイグリップラジアル「POTENZA RE-71RS」のセット出しを行ってきました。今回は、その際の詳細なレポートと、走る中で見えてきた課題、そしてタイヤの驚くべき性能について、じっくりとお伝えしたいと思います。
今回の走行の主な目的は、「現状の確認」です。 これまでも様々なタイヤで走行を重ねてきたGR86ですが、実は265/35R18というサイズのRE-71RSを履かせてタカタサーキットを攻めるのは今回が初めて。このパッケージがタカタの路面やコーナーに対してどのような挙動を見せるのか、そして現在の足回りのセッティングがこのタイヤのポテンシャルを最大限に引き出せているのかを確かめるためのステップでした。事前のデータとしては、前回の岡山国際サーキットでのフィーリングが非常に良好でした。そのため、今回はあえてセッティングを変更せず、そのままの状態でタカタに持ち込んでいます。岡山での「良さ」がタカタでも通用するのか、あるいはサーキットの特性の違いによって全く異なる顔を見せるのか、期待と不安が入り混じる中でのスタートとなりました。
この日の個人的な目標は「57秒台への突入」でした。 タカタサーキットにおいて、涼しくなり始めたこの時期の57秒台は、タイムアタック勢にとって一つの大きな指標となります。ここでしっかりとタイムを出しておかなければ、シーズン本番で上位勢と渡り合うことは到底できません。さらに、私を追い込む(?)嬉しい要因もありました。実は、弊社のお客様の中には、灼熱の真夏という悪条件の中で、すでに「58.0秒」という驚異的なタイムを叩き出している方がいらっしゃいます。 「お客様に負けてはいられない(笑)」というショップとしての意地もあり、またタイヤの状態もほぼ新品に近いフレッシュな状態でしたので、57秒台への突入は絶対に達成すべき「マスト」な目標として掲げていました。
走行1本目。まずはコース状況とマシンの挙動を確認しながら、慎重に熱を入れていきます。 様子見のつもりでアタックを開始したのですが、いきなりこれまでの自己ベストを更新。タイムは57秒台を記録し、まずは最低限の目標をクリアすることができました。しかし、手放しでは喜べませんでした。 更新したといっても、以前履いていたシバタイヤ 301Rでのベストタイムから、わずかコンマ1秒の短縮に留まったからです。RE-71RSのポテンシャルを考えれば、もっと大幅なタイムアップを期待していたのが正直なところです。そして何より、走っていて感じたのは「セッティングが合っていない」という強烈な違和感でした。 「岡山で良かったから大丈夫だろう」という予想は、タカタのテクニカルなレイアウトの前で見事に打ち砕かれました。内圧を微調整して再アタックを試みましたが、結果は57.9秒。タイムが伸び悩む明確な理由が、マシンの挙動に現れていました。
走行中のフィーリングを一言で表すと、「全体的にトラクションが掛からない」という状態でした。 特に、タカタサーキットにおいてタイムに大きく直結する重要なポイント、3コーナーや「すり鉢コーナー」の立ち上がりでアクセルを大きく開けると、リアがすぐに巻き始め、オーバーステアを誘発してしまいます。インフィールドの低速セクションでも同様で、コーナー出口で踏み込みたいところでリアがスライドしてしまい、スピードを乗せきることができません。ドライバーとしては、終始「気持ちよく踏み切れない」という、もどかしい状況が続きました。この原因を分析すると、足回りの「硬さ」が裏目に出ていたようです。 RE-71RSは非常にタイヤ剛性が高いタイヤです。その剛性に負けないようにと、リアのバネレートを比較的高めに設定して臨んだのですが、結果として「タイヤの硬さ」と「足の硬さ」が相乗効果を生んでしまい、リアタイヤに十分な面圧(荷重)を掛けられなくなっていました。これまでは301Rやアドバン A052といったタイヤでも同じレートで前後バランスを取っており、それらのタイヤでは良好な結果が出ていたため、RE-71RSでも通用するだろうと考えていました。しかし、タイヤの特性が変われば、必要とされるレートも全く別物になる。セッティングの奥深さを改めて痛感した瞬間でした。
今回の走行では、マシンの挙動をより詳細に分析するため、M&S cam dualstreamアクションカメラを導入して撮影を行いました。このカメラの最大の特徴は、何といっても2つの視点を同時に記録できるデュアルストリーム機能です。前方のコース状況と、ドライバーのステアリング操作・ペダルワークを完璧にシンクロさせて記録できるため、後から見返した際、「どのタイミングでリアが滑り始めたのか」「その時どのような修正舵を当てていたのか」を手に取るように把握できます。今回の「オーバーステアとの格闘」も、このカメラのおかげで鮮明に記録することができました。高画質かつ広角な映像は、単なる思い出作りではなく、データロガーだけでは読み取れない「クルマの動きと人間の感覚のズレ」を修正するための強力な武器になります。
あいにく、この日は現地に交換用のスプリングを持参していませんでした。レート変更という根本的な解決はできませんが、このまま終わるわけにはいきません。 次回の走行に向けた「正解の方向性」を探るため、残りの走行枠を使って車高バランスの微調整と、ダンパーの減衰力調整だけでどこまで挙動を改善できるか、徹底的に粘ることにしました。結果として、この日は合計38周を走り込みました。 あれこれとセッティングを振ってみたものの、根本的な挙動(オーバーステア傾向)が劇的に変わることはなく、少しマシになる程度の変化でした。しかし、この「少しの変化」を積み重ねたことで、「次はリアのレートをこれくらい下げるべきだ」という明確な方向性が見えてきました。走行後半は太陽が顔を出し、気温・路温ともに上昇したため、タイム更新は望めないコンディションとなりました。それでも平均ラップは58秒1〜2付近で安定しており、マシンの限界付近での挙動確認をじっくりと行うことができました。
今回、セッティングに苦しんだ一方で、RE-71RSというタイヤそのものの性能には改めて深い感銘を受けました。まず驚かされたのは、その「耐摩耗性(ライフ)」と「摩耗の綺麗さ」です。 トータル38周、そのうちアタックラップを約25周も重ねたにもかかわらず、走行後のタイヤ表面は驚くほど綺麗な状態を保っていました。これだけのハイグリップを発揮しながら、これほどタフに耐え忍ぶラジアルタイヤはそう多くありません。また、安定性も抜群です。 朝一番の冷え切った状態でのアウトラップでも、唐突な裏切りや怖い挙動を見せることなく、非常に早い段階で適正温度まで温まってくれます。 A052や301Rといった他のトップクラスのタイヤと比較しても、RE-71RSは「タイヤが今何をしようとしているのか」「何が足りないのか」というインフォメーションが非常に明確です。私自身、ドライビングにおいてタイヤとのコミュニケーションを最も重視していますが、これほど対話しやすいタイヤは走っていて本当に楽しいと感じます。
今回のセット出しで、多くの宿題を手にすることができました。 現状の足回りでは、RE-71RSの真価をまだ半分も引き出せていないと感じています。リアのセットをもう少ししなやかに動く方向へと見直し、タイヤをしっかりと路面に押し付けることができれば、57秒前半、さらにはその先の世界も十分に見えてくるはずです。「最低限の目標は達成した」という安堵感もありますが、心はすでに次回の走行へと向かっています。次はリアのスプリングを入れ替え、今回見えた方向性が正しいことを証明しに行きたいと思います。当日の走りの様子は、M&S cam dualstreamで撮影した車載映像としてYouTubeにアップロードしております。 GR86 TSタカタサーキット RE71RS 265/35R18タイム 57.888秒 アクセルを待ちきれない、オーバーステアと戦う私の格闘をぜひご覧ください(笑)。サーキット走行は、トライ&エラーの繰り返しです。皆様も、愛車との対話を楽しみながら、自分だけのベストセットを探求してみてください。 私たちが得たデータや経験が、皆様のカーライフをより豊かにする一助となれば幸いです。それでは、また次回の走行レポートでお会いしましょう!
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